社会科学

著者コメント

初めて実態を見せてもらったのは10年以上も前になるが、その時の感動は今でも忘れられない。
それは「決して理論走ったものでも、やたらと機械化・自動化されたものでもなく、しかしわかりやすく・整然と・シンプルにその仕組みが動き、大きな成果を出していた」現場の実態である。
その考え方とシステムの姿に驚くと同時に、このようなものがなぜ日本に普及しないのか、何とか普及させたい、そうすれば日本の生産も流通も、消費者の想い・満足も飛躍的に変化するのではないかと思ったのである。
それから10年以上が瞬く間に過ぎたが、トータルな形で「サプライチェーン・ロジスティクスマネジメント」と呼べる姿のものはあまり多く現実化していないのではないかという感があり、今回、それぞれの専門家や実務家の皆さん方から客観的な考え方と勘所を論じてもらうこととした。
これらのシステム理論と先進事例の客観的考え方、評価を紹介することで、日本においても「サプライチェーン・ロジスティクス」システムが実行・拡大されることを期待している。

概要

10数年前、突如として現れ、今では新時代の素晴らしい物流システムとして脚光を浴びる「サプライチェーン・ロジスティクス」。
しかしながら業種、人材、資金、トップの考え方、システムに関する未理解、情報支援系システムサイドの未熟さ、日本全体の商取引慣行、環境の未整備など、様々な要因により、まだまだ一般化していないのが実情である。
本書では、最もシンプルでわかりやすく、かつ論理的ポイントを押さえた先鋭的事例「クリナップ・プロダクション・システム（ＣＰＳ）」を手がかりモデルとして取り上げ、早稲田大学、明治大学の各研究機関による全面協力の下、選りすぐりの執筆陣が研究者、経営者、消費者、それぞれの立場から客観的に論じる。本書による多面的視点からの評価の紹介は、今後のシステム作りへの具体的目標の指針となり、日本における実現・拡大の一助となるであろう。また、開発技術者による情報システムの紹介も必読である。
「物流」についてかつてなく広い視野から捉えた、入門者にもお薦めの一冊。

目次

序　章　サプライチェーン・ロジスティクスマネジメントの編集に当たっての考え方と留意点
第１章　物流からサプライチェーン・ロジスティクスへ
第２章　クリナップのケースに見るサプライチェーン・ロジスティクスマネジメント
第３章　サプライチェーン・ロジスティクスマネジメントの考え方と評価「経営戦略、製配販、製造、マーケティング・販売、物流・情報・在庫、消費者・ユーザー、環境、経済性視点からの考察」
　　　　－クリナップ・ＣＰＳを具体的手がかりモデルとして－
第４章　サプライチェーン・ロジスティクスは人々にどう貢献するか
第５章　サプライチェーン・ロジスティクスマネジメントシステムの構築へ向けて
第６章　サプライチェーン・ロジスティクスの今後の展望

著者略歴

編著：吉岡 洋一（ヨシオカ ヨウイチ）
株式会社流通システム総合センター代表取締役
明治大学商学部兼任講師
早稲田大学商学学術院総合研究所WBS研究センター招聘研究員
同ネオ・ロジスティクス共同研究会顧問

元中村学園大学流通科学部助教授
元松山大学経営学部教授

１９４２年、福井県小浜市生まれ
明治大学商学部商学科卒
会社勤務を経て、早稲田大学生産研究所（後のシステム科学研究所、現商学学術院）でワークデザイン・システム設計研修生
経済産業省外郭流通専門研究機関・財団法人流通システム開発センター研究開発部で流通システム化に関する調査・政策提案に従事
その後、株式会社流通システム総合センターを設立し代表取締役に就任、現在に至る


著者（執筆順）
高橋　輝男（早稲田大学 名誉教授）
大竹　重雄（クリナップロジスティクス（株）代表取締役社長）
椎野　　潤（椎野ロジスティクス研究所 所長）
黒須　誠治（早稲田大学大学院商学研究科 教授）
中澤喜久雄（（株）ＳＫ物流技術研究所 代表取締役）
菊池　一夫（明治大学商学部商学科 教授）
町田　一兵（明治大学商学部商学科 専任講師）
鈴木　敬輔（（株）ユース流通システム 代表取締役）
高坂　　彰（常葉大学経営学部経営学科 准教授）
関口　壽一（シーコムス（株）代表取締役）
名倉　秀子（十文字学園女子大学大学院人間生活学研究科 教授）
辻　ひろみ（東洋大学食環境科学部健康栄養学科 教授）
藤田　精一（早稲田大学大学院商学研究科 教授）

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