社会科学
- 米国経営の根底思想の研究
米国から導入した政策はなぜ不適合を起こしたのか - 高岡 義幸 著
発行日 | 2022年08月30日 |
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判型 | A5判 |
頁数 | 176 |
税込価格 | 2,970円 |
ISBN | 978-4-86186-863-4 |
著者コメント
日本社会では長年、米国の諸政策が先進的・模範的モデルとして取り入れられてきた。ところが近年、米国で打ち出される政策にも、必ずしも模範的モデルとは言い難いケースが増えているのではなかろうか。このような時には新たなアプローチが必要であろう。本書ではそのアプローチの一つとして、その社会にある根底思想に着目する方法が取り上げられている。世界を見渡すと政治形態もビジネスも実に多様だが、それらは必ずその国や地域の根底思想に性格づけられている。したがって米国の政治や経営の特質もその根底思想を踏まえてはじめて理解が深まる。思想と言えば難解なものと思われがちだが、本書では欧米の思想の内容が分かりやすく解きほぐされ、政策実践への新たなヒントが示されている。
概要
米国社会の根底思想は二つの大きな要素から成り立っている。初期移民が身につけていたヨーロッパの伝統的思想と、「新世界」で作られた米国固有の思想である。前者は古代ギリシャに始まり、その後キリスト教の影響を強く受けて変遷を遂げて来ている。特に17世紀以降は神の影響を受けつつも、他方で人間が神から自律しようと模索を続け、思想を発達させてきた(第1~2章)。両章を読めばヨーロッパには日本とは全く異なる存在観があることが分かる。その後の章では米国思想を特徴づける新たな本質的要素が考察されている。その要素とは①建国期の思想、②現在の思想の骨格、③プラグマティズム、④科学的方法とキリスト教である。①と②はいわゆる保守思想の骨格をなすものだ。③は決定論的思想を否定し、自由な発想と実践を推奨する思想である。米国には、一方で科学を重視しつつ、同時に米国が神の恵みを特別に受けた格別な国だと考える特殊な思想がある。
目次
第1章 ヨーロッパ思想の基本構造と人間の自律意識の発展
1. ヨーロッパ思想に登場する「哲学」と「理性」の意味およびその機能
2.ヨーロッパにおける思想形成の階層構造と理性主義
3. 理性主義の変遷と発展(神的理性からの脱却/人間理性の自律性向上)
4.ニーチェ思想の性格と彼の企て
5.ハイデガー思想の性格と彼の企て
6.人間の自律性の高まりとそれに対する反省
第2章 近現代ヨーロッパ思想に見る、神、自然、人間、社会、歴史の認識
1.17世紀の思想:「生成」に対する「存在」の優位
2.18世紀の思想:「存在」と「生成」の混在
3.19世紀の思想:「存在」に対する「生成」の優位
4.20世紀(1950年まで)の思想:「生成」の勝利
第3章 米国建国期思想の形成とその特徴
1.アメリカ大陸への入植動機
2.イギリスからの離反と独立
3.独立革命期の思想と独立宣言の趣旨
第4章 三つの側面から見た米国の思想
1.現代の経済体制の基盤形成
2.経営環境要因としての保守とリベラル
3.宗教の果たす役割
第5章 プラグマティズムの特徴と意義
1.主要三者の主張内容
2.プラグマティズムの要因と新規性
第6章 米国経営における科学的思考および宗教
1.『方法序説』にみるデカルトの思想
2.近代科学とその思考形式
3.科学で捉える真理
4.米国経営における科学的方法の活用
5.経営方策へのキリスト教の影響
著者略歴
高 岡 義 幸(たかおか よしゆき)
1973年 神戸大学経営学部卒業
1977年 米国、ローマリンダ大学経営学部卒業
1978年 広島経済大学助手、その後、講師、助教授
1988年 ドイツ、アメリカ両国で1年間在外研究
1989年 広島経済大学教授就任
2020年 広島経済大学退職
著 書 『経営学への手引き』学術図書出版社、1995年
『企業経営の基本論理』学術図書出版社、1997年
『経営学―実践の指針と論理―』学術図書出版社、1999年
『ビジネスの基礎知識』ふくろう出版、2006年
『 ビジネスマネジメント―採算から戦略、組織、会社制度まで―』ふくろう出版、2009年
『 持続的成長のためのコーポレート・ガバナンス―株式会社設計思想からの考察―』広島経済大学出版会、2015年
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