医学・看護介護・福祉
- 復学支援 どうしていますか?
―これまでとこれから― - 大見 サキエ編著、宮城島 恭子・河合 洋子・森口 清美・畑中 めぐみ 著
発行日 | 2024年07月10日 |
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判型 | B5判 |
頁数 | 228 |
税込価格 | 3,630円 |
ISBN | 978-4-86186-917-4 |
著者コメント
臨床看護師時代、私の上司であった小児病棟の看護師長は、長期入院で卒業式に出席できなかった小学6年生に校長先生が配慮して、先生やクラスメイトが集合し病院の中庭から卒業のお祝いをしてくれたこと、それを病室の窓から見ていた患児がとても喜んだという話に「入院しているすべての子どもが学校からこんな配慮をしてもらえるといいね」と話していました。院内学級の仲間と過ごしている子どもの表情は、病床でのそれと全く異なり、生き生きとして無邪気で実に可愛いいものでした。
そうした場面に触れて、著者は、子どもたちの居場所は仲間のいるところなのだと実感した経験を持っています。子どもが育ちゆく居場所あるいは育つために必要な教育の場を保障する(環境を提供する)ことが、医療者としての課題だと思っています。
本書は病弱児の復学支援を中心に述べていますが、基本的にはそれ以外の復学に関係するすべての子どもに該当するものと考えて執筆しています。「復学支援」は入院から退院、退院後、日常生活が整うまでの支援と考えます。本書での「復学支援」は狭義には、元の学校に戻ることを前提としていますが、元の学校でなくても、子どもの(が学ぶ、育つ)居場所が確保できるところに戻るということも、広義には視野に入れています。
この本が復学に関心のある学校の先生方、あるいは、今まさに退院して対応を迫られて困っている先生方、特別支援教育に携わっている先生方、復学支援体制を病棟で整備していきたいと思っている看護師の方々、看護教育(特に小児看護学)に携わる先生方、その他の子どもに関わる保健・医療・福祉・教育に携わっている多職種の方々の復学支援の取り組みの参考になることを願っています。そして、保護者の皆様をはじめ、復学する子どもを理解し、支援する立場にある周囲の全ての方々の理解の一助になれば幸いです。
概要
「復学支援」という言葉は、著者らが取り組み始めた2000年ごろはまだ法的な支援体制も整備されていなく、世間の周知もほとんどされていない言葉だったが、2007年に学校教育法が改正されて「特別支援教育」となり、諸制度が構築され病弱児に対する教育支援もさらに推進されるようになった。しかしながら、まだ長期入院後や慢性疾患児の復学支援の体制構築は整備の途上であるといえ、病院や地域の格差も目立っている。
筆者はいずれも小児看護師の勤務経験を持ち、第1章から第3章まで3つの異なる切り口で「復学支援」を医療者目線から論じている。
第1章 未来を担う子どもを健やかに育てるために子どもの権利を保障していくという基本的な考えの上に立ち、なぜ復学支援が必要なのか、その必要性、法的整備の状況を年次経過に沿って説明する。
第2章 復学支援の必要性は大方了解されても、その方法は確立されたものがまだない。これまでの筆者らの経験も踏まえて、どのように支援するか、というテーマを前提に、各執筆者がそれぞれのパートで復学支援の課題を説明する。復学支援を日本よりも先駆的に行ってきた海外の状況を概観した後、日本の現状に応じた支援の方法を模索する。
第3章 第1章~2章の内容を踏まえ、これまでと現在の復学支援を再度振りかえり、今後さらに復学支援を充実させるための方策を考える。
目次
はじめに
略語一覧、用語解説
第1章 復学支援の必要性
第1節 復学支援の必要性と法的根拠
第2節 病気に罹患した子どもにとっての復学支援の必要性
第3節 病気に罹患した子どもの保護者にとっての復学支援の必要性
第4節 病弱児に対する現職教員や教職を目指す学生の認識
第5節 学校における人材配置の現状 42
第6節 児童・生徒の認識
第7節 医師・看護師等医療・福祉専門職者の認識
第2章 復学支援の方法 65
第1節 海外の復学支援 −筆者らの視察報告より−
第2節 海外の復学支援 −武田らの報告より−
第3節 復学に関する子どもと保護者のニーズ把握と支援
第4節 入院中に利用可能な教育方法
第5節 療養中・療養後における復学する学校との連携
第6節 進級・進学、受験時の配慮
第7節 高校生の復学支援について
第8節 復学支援会議の始め方、進め方
第3章 復学支援の充実に向けて
第1節 筆者らの復学支援の取り組み
第2節 これまでの復学支援の現状と課題
第3節 今後の復学支援の方向性 −包括的視点から−
あとがき
編著者・著者紹介
著者略歴
〈編著者〉
大見サキエ(おおみ さきえ)
前 椙山女学園大学教授。岐阜聖徳学園大学 名誉教授
〈著者〉
宮城島恭子(みやぎしま きょうこ)
浜松医科大学医学部看護学科 講師(小児看護学)
河合 洋子(かわい ようこ)
豊橋創造大学保健医療学部看護学科 教授(小児看護学)
森口 清美(もりぐち きよみ)
就実大学教育学部教育心理学科 教授(看護学)
畑中めぐみ(はたなか めぐみ)
NPO法人愛知こどもホスピスプロジェクト 代表理事
看護師、保健師
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