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事業用建物の賃貸借に関する研究

  • 事業用建物の賃貸借に関する研究
    キーテナントの中途撤退は許されるのか、アメリカの事例をまじえて
  • 竹村 公一 著
発行日2014年10月20日
判型A5判
頁数194
税込価格2,750円
ISBN978-4-86186-614-2
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概要

戦後日本の高度経済成長と共に、建設・不動産市場はそのハードウェア部門として飛躍的な発展をとげた。しかし、いわゆる「バブル経済」の崩壊は、同業界にも様々な法的トラブルをもたらすこととなった。
その一つが、本書でとりあげる「その誘致を前提として建設された大規模事業用ビルにおけるキーテナントの中途撤退問題」である。
賃料収入があることを前提に、建設費用の大半を銀行から借り入れているビル所有者にとって、突然のキーテナント撤退が経営上、極めて大きな打撃となるにもかかわらず、これまで日本では、借地借家法のもと、一方的な撤退も認めざるをえなかった。しかしそれは、ゴーストタウン化した大型ビルの発生を加速させ、日本経済の低迷化、凋落化を招くことにもつながるのではないだろうか。
本書では、長年にわたり建設・不動産業界での実務を経験し、このような場面に幾度も遭遇してきた著者が、法的に公平妥当な見地からの解決策を探る。
まずは日本における数少ない判例を元に考察を進め、「強い借主」と「弱い貸主」の法的公平妥当性を明らかにすべく、借地借家法とその前進である借地法・借家法の成立・発展の過程を検証する。
次に、ビジネスの当事者として、借主にも強く義務が求められ、貸主にも損害軽減義務が求められるアメリカ法における考え方、処理の仕方を通して、日米比較を試みる。
今後日本の不動産法、賃貸借法制を考える上での、示唆に富んだ一冊。

目次

第一部 事業用建物の賃貸借と借地借家法
    -あるキーテナントからの中途解約をめぐって
第1章 はじめに
第2章 自己の実務経験上の事例紹介
 第1節 建物の概要
 第2節 賃貸借契約の内容
 第3節 経緯
第3章 本事例に関する判例等
 第1節 A類型
 第2節 B類型
 第3節 和解事例
 第4節 小括
第4章 本事例の問題点と学説
 第1節 そもそも事業用建物の賃貸借に借地借家法が適用されるのか
 第2節 賃借人からの中途解約は許されるのか
 第3節 賃借人からの中途解約があった場合、賃貸人はどこまで賃借人の責任を問えるのか
 第4節 小括(筆者の考え)
第5章 今後の課題等
 第1節 法整備の必要性
 第2節 第一部のおわりに
第二部 事業用建物の賃貸借法に関する日米比較の一考察
    -特にテナントの中途解約と賃貸人の損害軽減義務を中心に
第1章 はじめに
第2章 アメリカ法における事業用建物の賃貸借
 第1節 アメリカの賃貸借法制の概要
 第2節 リースホールドの種類とその内容
第3章 建物賃借人の中途解約をめぐる判例
 第1節 Aグループ(残存期間に対する借主の賃料支払い義務が問題となった判例)
 第2節 Bグループ(貸主の損害軽減義務が問題となった判例)
第4章 損害軽減義務を認めないニューヨーク州
 第1節 損害軽減義務の当初の否定例
 第2節 否定から肯定へ
 第3節 損害軽減義務の肯定例
 第4節 肯定から再度の否定へ
 第5節 損害軽減義務の再度の否定例
第5章 賃貸人と賃借人の義務
 第1節 賃借人の義務(特に賃借権の終了と賃料支払義務との関係)
 第2節 賃貸人の義務(特にその損害軽減義務を中心に)
 第3節 小括
第6章 損害軽減義務についての日本における議論
 第1節 はじめに
 第2節 損害軽減義務に関する議論
 第3節 小括
第7章 おわりに
 第1節 アメリカ法における中途解約と損害軽減義務
 第2節 日本法における問題点
 第3節 日本法の方向性に関する私見(筆者の立場)
 第4節 むすび 

著者略歴

竹村 公一(たけむら こういち)
大阪市阿倍野区生まれ、現在京都市中京区在住
関西学院大学法学部法律学科卒業
株式会社大林組ほかにて勤務
2008年3月、関西学院大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得
博士(法学)、専門は民法・不動産法
現在、兵庫教育大学、大阪体育大学、河合塾KALS、LEC東京リーガルマインドにて講師を務める
日本私法学会、日本不動産学会 各会員

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