社会科学
概要
全国学力調査やPISA調査等の結果に示されるように、現代日本の子どもたちの学習問題は、課題解決能力、情報処理能力の未熟さにある。つまり、物事を関連づけて、構造的に、論理的に考える能力に弱点があるということである。
本書は、「考える力」の育成に焦点を当てて取り組んできた著者の、長年にわたる研究を集成・編集・総括し、改めて省察したものである。
まずⅠ章では、実態分析から浮かび上がった「考える力」の弱体を踏まえ、その育成に大きな影響を及ぼす「隠れたカリキュラム」と、そこに潜む問題点を歴史的に考察し、さらにその対策についても検討。続くⅡ章では、「考える力」を育成するための学習指導法、および「考える力」の診断に関する実証的研究論文を掲載。最後のⅢ章では、著者の「真正の教育観」の一端にふれる教育小論を掲載。
「考える」とは、言葉で考え、言葉で表現するということであり、「言葉の教育」を行う国語科の責任は重い。「言葉の学び」と「言葉による思考指導」が行われる国語科教育実現のために、本書における研究成果がその一助となることを願っている。
目次
まえがき
Ⅰ章 「隠れたカリキュラム」と「キャリア教育」
Ⅰ-1 「隠れたカリキュラム」の考察 その1
-1960年代以降の大人の意識・精神性-
Ⅰ-2 「隠れたカリキュラム」の考察・その2
-幼児期の環境、大人の意識変革を-
Ⅰ-3 高等学校普通科における「キャリア教育」の在り方と教育的意味
-「生きること」「働くこと」「学ぶこと」の三位一体化-
Ⅱ章 「言葉の学び」と「考える力」を育成する学習指導
Ⅱ-1 国語科教育における基礎・基本の指導
-「言葉の学び」をさせる発問:学力のつかない発問、学力のつく発問-
Ⅱ-2 文学的文章教材における「言葉の学び」を目的としたテスト・発問
Ⅱ-3 国語学力形成の支援となる「板書」のあり方に関する一考察
Ⅱ-4 文章幸三の論理的推敲を支援する指導方法
-ISM教材構造化法の適用-
Ⅱ-5 学習者の認知構造を診断するツールとしてのコンセプトマップの有効性
-説明文教材の解釈における解釈文と比較しての考察-
Ⅱ-6 学生が相互に出題した漢字テストの結果に基づく理解度と出題傾向の考察
-学習者―出題者で構成したS-P表分析-
Ⅱ-7 「国語科教育法」における国語科教師育成法
-自己実現を図る情報処理のワークショップを通して-
Ⅱ-8 教育実習生の指導の力量形成を目的としたチェック・リスト
-中学校・高等学校の国語科の場合-
Ⅲ章 教育小論
Ⅲ-1 足るを知る
Ⅲ-2 「学ぶ喜び」の実感を
Ⅲ-3 生きた学習
Ⅲ-4 待つこと
Ⅲ-5 間違ってもいい
Ⅲ-6 洞察力
Ⅲ-7 言葉から消えていく「魂」
Ⅲ-8 アーティスト
Ⅲ-9 「技能・技術」の指導
Ⅲ-10 「学び」「省察」
Ⅲ-11 教育の原点
あとがき
著者略歴
瀬川 武美(せがわ たけみ)
1948年生まれ。関西学院大学大学院修士課程修了。
現在、帝塚山学院大学リベラルアーツ学部教授。
大阪狭山市教育委員会委員長職務代理者。
公益財団法人大阪狭山市文化振興事業団副理事長。
大阪府立狭山高等学校協議会会長。
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- 『第5版 小学校音楽科教育法』
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- 『英語学の基礎知識』
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- 『未来につながるボランティア』
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